まこちむのブログ

シムレーシングや日常の出来事について書いています

集合住宅で導入可能な最高のモーションシミュレータ環境の構築

今回は、筆者が構築したレーシングシム環境のお話をしたいと思います。

FanatecのPS4対応のDD1を購入し、テーブル設置環境にて利用してしばらく経過し、これといった不満もなかったのですが、より高みを目指してみたくなる気持ちと物欲に抗うことができずに構築してしまった集合住宅で考えられる最高のシム環境について周辺機器を中心に紹介します。

前提について

今回タイトルとして「最高のシム環境」と銘打っていますが、最高のシム環境とは?と思う方もいらっしゃるかと思います。一般消費者が導入可能でかつ、現在の技術で考えられるシム環境の最終到達点としては、以下動画のようなモーションシムがあげられるかと思います。

youtu.be

従い今回の記事の中でも筆者が導入したモーションシムも紹介したいと思います。

また、今回は集合住宅で導入可能な最高のシム環境としており、集合住宅という限定的な環境での最高のシム環境という前提で進めます。
筆者は一般的な集合住宅に住んでおり以下のような制限がある為、スペースを必要とするトリプルモニターや騒音トラブルに繋がる可能性のある機器の導入を控えなければならず、選択肢がある程度、制限されてしまうのですが、その中でも最高(と思われる)環境の構築を目指し今回紹介する周辺機器達を導入しました。

  • 部屋のスペースが一軒家より狭い
  • 壁/床/天井越しに居住者がいるため大きな音が立てられない

集合住宅の中には高級マンション等、部屋が広く、強力な防音対策が施されているところもあるかと思いますが、今回はこういった特別な環境ではなく、一般的な集合住宅という前提で紹介したいと思います。

これらを踏まえ以下のような前提で最高のシム環境と定義していますので、ご了承いただければと思います。

  • 広いスペースを要求するモニター類は除外(トリプル/ウルトラワイド)
  • 動作音が大きい周辺機器は除外
  • 日本からある程度購入ルートが開けている製品が対象
  • 規制品で導入可能(購入製品に対しての加工が不要)
  • ハンコンについてはPS4対応DD1(DD2やSimqubeなど上を目指せば色々ある)
  • VRサウンドシステムは対象外
  • PCのスペックは問わない(ハイスペックを目指せば色々ある)

では、前置きが長くなりましたが、シム環境について紹介していきたいと思います。

レーシングコクピット

まず紹介するのがレーシングコクピットです。
やはり最高のシム環境に欠かせないのがレーシングコクピットになるかと思います。
筆者が導入したのは以下のコクピットです。

製品名:Next Level Racing GT Track

www.amazon.co.jp

こちらの製品ですがオーストラリアのメーカーがNext Level Racingのブランドで展開している製品で、その中でもフラッグシップモデルのコクピットになります。
最高のシム環境の名にふさわしく、筆者の知りうる限りではセットアップのコクピットで日本国内から正規品で購入できるものとしては最高級になるかと思います。
購入は、国内正規品かつ最安値で購入可能なAmazonがお勧めです(10-11万円)。

フラッグシップモデルだけありフレームの剛性が非常に高く、軋むようなことはありません。
ペダル位置(前後、角度)、ハンドル位置(高さ、角度)、シート位置(前後、リクライニング)が可能でありドライビングポジションの調整については十分な機能が備わっているます(以下は設置初期の筆者のシム環境)。

f:id:srmakochim:20200920122019j:plain
GT Trackは正式にFanatecのダイレクトドライブに対応していますが、お使いのハンコンがダイレクトドライブのような高トルクの出力でなければ、下位モデルのGTultimate V2でも十分かと思います。

今までハンコンをテーブル設置環境で利用していて特に不満はなかったのですが、コクピットを使うようになり気が付いた利点がいくつかあります。

1点目が、テーブル設置環境の時と違い椅子が完全に固定されている為、ドライビングポジションが常に同じだという事です。同じ動き(踏力)をすれば、車の挙動も毎回、同じように再現され一貫性が保たれる為、速い走りに繋がります。

2点目は、ペダルの振動がより感じられるようになった事です。
筆者は以下のFanatecのClubSport V3 Pedalsというペダルを使用しているのですが、こちらのペダルはアクセルとブレーキペダルの裏側にモーターが付いており、ABSの始動やオーバーステア、スピン等の時にモーターが回転しペダルに振動を発生させる機能が備わっています。

fanatec.com

振動機能が付随している分、他のペダルよりも価格が高くなるのですが、ゲームの対応状況によって振動しなかったり、足元で何か振動を感じる程度でしたので、レーシングコクピットを導入する前は印象が薄かったのですが、コクピットの導入後は大きく印象が変わりました。

何故かというと、コクピットは基本的にペダルのプレート、ハンドルの設置台、シートが全て一体となり繋がっている為、ペダルの振動がシートまで伝わってくるようになったのです。テーブル設置環境の場合は椅子、ペダルは分離されているので、このような現象は発生しません。

偶然なのか意図して設計したものなのかはわかりませんが、Next Level RacingのGT Trackではこのペダルの振動がうまくシートまで伝導するようになっており、正にClubSport V3 Pedalsの真価を発揮といった感じで、コクピットを導入する事で、このペダルの価値を改めて理解することができました。

また、こちらのコクピットの良い点として、以前紹介した振動ユニット(Buttkicker)のアダプタが付属しているところです。

f:id:srmakochim:20200920123155j:plain

上の写真がそのパーツで、バーの部分にButtkickerを装着し、これをシート下部のステーに取り付けます。

実はコクピットの事だけで考えるとこれほど高価なものでなくても、他のメーカーでもっと安価でダイレクトドライブ対応のものが存在します。 海外のレビューでもNext Level RacingのGT Trackはものは確かに良いのですが、コストパフォーマンスで考えると他のメーカーのコクピットの方が優れているとの評価が大半で、また実車シートとの互換性が低いなどの欠点も指摘されておりコクピット単体で考えると割安な他の製品の方が良いかも知れません。

しかし、Next Level Racingはモーションシムも展開しており、GT Trackはこちらに正式対応しており、比較的簡単にモーションシムが導入できるという利点があります。
あとでこの製品も紹介しますが、この正式対応のモーションシムが今回のブログのタイトルである集合住宅で導入可能な最高のシム環境を構築する上で欠かせない構成要素となる為(その理由もあとで説明します)、集合住宅で最高のシム環境を目指すのであれば、こちらのコクピット(またはGTultimateV2)は必須になります。
※ あくまで製品加工なしで構築できる範囲での話

筆者もこのGT Trackを購入する際に事前に調べ、将来モーションシムを導入する事を想定した上で購入しました。従いモーションシムの導入を検討している場合(特に集合住宅で)は、こちらのコクピットはお勧めできます。

続いて、モーションシムの話が出てきたので、モーションシムの導入で必要になるPCを紹介します。

PC

現行のモーションシムは、コンソール機対応のものが存在せず、導入するにはPCが必要です。モーションシムは基本的に数十万円〜数百万円と価格帯が高く、一般家庭向けに安価で高スペックなゲーム機器として販売しているコンソール機の市場とは領域が異なる為、対応製品がないのは仕方ない事でしょう。

ちなみに今、ゲーミングPCを購入することはお勧めしません。
その理由は10月にNVIDIAより最新のグラフィックボードGeForce RTX 30XX系が発売されるからです。10月に発売されるグラフィックボードの最下位のモデルでも執筆時点で最高性能であるGeForce RTX 2080 TIをしのぐ性能を有しており、更に価格も安価です。
また新しいグラフィックボードが出ると現行モデルの価値が下がり現行モデルについても値段が下がります。

これに加えて執筆時点で11月に発売が決まっている次世代コンソール機のスペックもかなり高く、同じスペックのものをゲーミングPCで組もうとすると5倍程度の金額になる為、モーションシムがターゲットでなければ、しばらく待った方が高スペックマシンを安価に手に入れる事ができる状況です。

そんな中、筆者がゲーミングPCを購入した理由は物欲に抗えず、待つ事ができなかったからです。
賢い選択とは言えませんが、数ヶ月後には高スペックのグラフィックボード、コンソール機が発売される事が予想される中での購入でしたの以下の点に留意しました。

  • GeForce RTX 2080より高いスペック(2080は次世代コンソール機相当)
  • CPUのコア数8(16スレッド)より高い(コア数8は次世代コンソール機相当)
  • メモリは16GBをより多い(16GBは次世代コンソール機相当のスペック)
  • SLI(グラボを複数枚搭載して性能アップ)対応のマザーボード

今からゲーミングPCを購入するなら次世代コンソール機よりはスペックが高いものにしないと、高額(しかも5倍程度)を掛けて、次世代コンソール機よりも低スペックものを入手したことになってしまうので、ここは譲れないポイントでした。
また、グラボの入れ替え+グラボの枚数増加で数年間先まで高設定でゲームが楽しめるような拡張性を残しました。
(現状あまりSLI対応のゲームソフトが少なく普及していない状況)

SLI対応となってくるとBTOのパソコンでは対応製品が少ないく(またはあったとしても高額)になる為、いろいろ探した結果、自作PC(筆者の場合はパーツを指定して組み立てを依頼)をTUKUMOで購入することにしました。

というわけでPCのスペックはこんな感じです。

  • CPU Ryzen 9 3900X 12コア 24スレッド
  • メモリ 32GB(16GBx2)
  • GeForce RTX 2080 Super
  • SSD Gen4 1TB
  • MSI MEG X570 UNIFY(SLI搭載)

次世代コンソール機のスペックを超える構成かつSLIの拡張性を持たせた想定通りのPCを用意できました。当然ですがコンソール機のN倍の費用がかかっています。

では、最後に本題のモーションシムの紹介をします。

モーションシム

さて、いよいよ本題ともいえるモーションシムを紹介します。

PCを用意し割高のコクピットを導入した理由は、こちらのモーションシムを導入する目的があったからです。
当初の予定ではPC購入後、モーションシムの導入までしばらく期間をとるつもりでしたが、結局、物欲に抗えず、あっという間に購入してしまいました。

製品名:Next Level Racing Motion Platform V3

www.amazon.co.jp

f:id:srmakochim:20200920215526j:plain

f:id:srmakochim:20200920215658j:plain

これが最終到達点と考えると感慨深いものがあります。

では、なぜこのMotion Platform V3が集合住宅で導入可能な最高のシム環境を構築する上で欠かせない存在かというと動作音が極めて静かという特徴があるからです。
Motion Platform V1から始まりV2、V3と2度のマイナーチェンジが施されているのですが、メーカーサイトによるとV1、V2の時点で、市場でもっとも静かなモーションシムとして知られており、V3で更に静音性を高めたとのことです。

またMotion Platform V3自体の作りが静音性に優れているのもありますが、以下のようにシートの基礎として設置し、シートのみを動かす仕組みとなっている為、最初に紹介したコクピット全体を動作させるモーションシムよりも稼働部分が少なくなるので、動作音が静かになることは想像がつくかと思います。

f:id:srmakochim:20200920221155j:plain

この他の利点として、シートの面積とほぼ同じ程度のサイズになる為、設置スペースを広く取る必要がありません。

どうでしょう、最初に説明した集合住宅の特徴、

  • 部屋のスペースが一軒家より狭い
  • 壁/床越しに居住者がいるため大きな音が立てられない

この2点に見事に答えられるベストなモーションシムだと思いませんか?

導入後の使用感としては、メーカーが唄っている通り確かに動作音が静かで、殆ど初期設定で利用していますが、ご近所から苦情が来たことはありません。

Motion Platform V3の詳しい使用感については、後日ブログで紹介したいと思います。

今回は以上となります。